南海トラフ地震臨時情報とは

防災の基本の話

2024年8月8日に発生した日向灘地震を受けて、初めて「南海トラフ地震臨時情報」の「巨大地震注意」が出されました。
当日、気象庁で行われた記者会見では、次のような話が出ました。
「地震学的には巨大地震の確率が高まっているが、日常生活に特別な変更は必要がない」
「普段おこなっている防災の備えを、今一度確認していただければよい」

宮崎の被災地では、重軽傷16人や断水停電などの被害が発生しました。
一方、全国的には、臨時情報による大きな混乱はなかったと思われます。
今後も必ず出されるであろう臨時情報に備えて、今回のポイントを確認してみます。

巨大地震が発生する確率は

南海トラフ地震臨時情報には3段階あります。
調査中、巨大地震注意、巨大地震警戒、の3つです。
今回は、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会が開催される時点で、調査中が出されました。ここでは、巨大地震の確率について何ら結論は出ていません。
評価検討会の結論によって、巨大地震注意がだされました。ここで、南海トラフ巨大地震の発生確率が、平常時の数倍になったと言われました。
その先には巨大地震警戒というものがあり、状況に応じて防災弱者の事前避難が呼び掛けられる可能性もあります。

南海トラフ巨大地震が(例えば1週間以内など)近く発生する確率は、平常時で0.1%程度と設定されています。
巨大地震注意では0.5%程度の確率です。有意な差ではありますが、切迫した行動が求められる数値でもありません。
巨大地震警戒では7%程度の確率です。地震は予知できないことを考えると、かなり思い切ったパーセンテージの上昇と言えます。

冷静な対応と過剰な対応と

災害が発生すると、飲食料や日用品の買い溜めが発生する、というのが常です。
今回も防災関連の需要が急増し、2024年8月21日時点で、非常食・保存水・防災用品が軒並み品薄となっています。
ただ今回は、早い商品で2週間程度、遅い商品で1ヵ月程度で、次回入荷の目途が立っています。能登半島地震のときは、その2~3倍の欠品期間が発生していました。
特別な備えを行なうのではなく、日頃の備えを継続する、という行動でありたいものです。

新幹線が速度を落として運転しました。これについて、過剰反応ではないかという見解も出ています。
新幹線の車体は、特に高速走行中は、突発的な横揺れにとても弱い構造となっています。
今月の台風7号接近時にも、新幹線は計画運休しました。
リスクが迫っているのであれば、新幹線を止めなければなりません。
しかし、今後も出されるであろう巨大地震注意の臨時情報は、運休に必要な地震の蓋然性があるのか、検討課題となるでしょう。
一部で、海水浴場の遊泳禁止や、イベントの中止などもあったようです。
初めての臨時情報なので、多少の過剰反応はやむを得ないと考えます。巨大地震のリスクを考える契機になったはずです。

南海トラフ巨大地震は必ずやってくる

臨時情報が終了したからと言って、安全になったわけではありません。
平常時の巨大地震発生確率が継続しています。
平常時の発生確率0.1%、10年以内に30%、30年以内に70%~80%、50年以内に90%以上、というものです。
この数値は地震を予知したものではなく、統計的に導いています。

仮にパチンコの大当り確率を400分の1(0.25%)とします。
これは、400回転すれば1回目の当りが来るという意味ではありませんね。1回転目でも0.25%の確率、400回転目でも0.25%の確率、それでも当らず1000回転目に突入しても0.25%の確率です。1球ごとに常に400分の1です。
南海トラフ巨大地震の発生確率1000分の1(0.1%)も同様です。
明日揺れる確率も0.1%、明後日も0.1%、1年後の今日も0.1%です。単純に確率は増えません。
ただ、パチンコも回転数を重ねればいつか当るように、巨大地震も日数を重ねればいつか揺れます。
そのいつかは、周期的には秒読み段階に入っています。

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