内閣府『事業継続ガイドライン』には何が書かれているか

BCPの基本の話

ガイドラインの概要

内閣府は、企業の自主的な事業継続(BC)への取り組み普及を目的として、『事業継続ガイドライン』を策定しています。
40ページほどのPDF文書ですので、頑張れば読めないこともありません。BCの実務責任者となった方には、一度は読んでいただきたい内容が多く含まれています。
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/sk_04.html
ただし、各企業は必ずしも、ガイドライン通りに取り組む必要はありません。
ガイドラインを通読すると、過去から現在まで、BCに関する知見が向上してきた軌跡を見て取ることができます。

これまでの改定の目的と経緯

2005年策定
事業継続計画(BCP)の策定促進を目的としています。
ガイドライン第一版は、計画文書の重要性に着目していたことが分かります。

2009年改定
ガイドラインの実用性向上を目的としています。

2013年改定
事業継続マネジメント(BCM)の普及促進が目的に掲げられています。
そのために、平時からの取り組み、サプライチェーンへの対応、経営者が関与することの重要性が明示されました。

2021年改定
災害時の従業員の外出抑制策を反映しています。BCPに外出抑制策等が記載されるよう改定しています。

2023年改定
テレワーク等で意思決定が行える仕組みの整備や、情報セキュリティー強化など、企業を取り巻く環境変化を反映しています。

ガイドラインの全体構成

ガイドラインの本文構成は8章建てとなっています。
大まかに言って、前半で事業継続マネジメント(BCM)の解説が展開され、後半で事業継続計画(BCP)の解説が展開されています。
つまり、BCMの体制を構築することが、一歩です。
BCMの中で、優先業務の検討や事業影響度分析を行ない、事業継続戦略を決定します。
以上を踏まえて、BCPの策定・文書化を行なう流れです。
BCPは、BCMの一部として位置づけられます。
これは、近年の事業継続(BC)の知見を踏まえた構成となっています。

付録と別添

付録には用語解説が載っています。
あくまで参考程度です。
別添には、チェックリストが載っています。
このチェックリストは主に経営者向けの内容となっています。BCには経営者の関与が重要という観点からすれば、活用する価値はあるでしょう。
しかし、初めてBCPを策定する時や、担当者レベルでの活用には、ハードルが高い項目が並んでいます。

結論

『事業継続ガイドライン』では、BCMを推進してくださいという趣旨のことが、繰り返し述べられています。
BCPを策定してくださいという趣旨のことは、わずかしか書かれていません。
BCMの内容は多岐にわたりますが、体制の改善、リスク評価の見直し、教育や訓練の実施、それらを踏まえたBCPの改定などが挙げられます。
要は、どんな業務でも行なっているPDCAサイクルを、BCの領域でも実践しましょうということなのです。

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